catch-img

営業こそアナログではいけない。新時代の営業「デジタルセールス」とは

営業の新しいスタイル「デジタルセールス」をご存じでしょうか。従来の営業スタイルと合わせて、ツールを使用することで効率をあげることができます。デジタルセールスについて、初心者にも分かりやすく解説します。


インターネットやクラウド技術の発展に伴い、営業の役割にも大きな変化が起きています。

新型コロナウイルスの影響により対面で営業を行うことがさらに減少した現代では、新しい営業形態である「デジタルセールス」について正しい知識を身につけることが成功への第一歩となるでしょう。

この記事では、新時代の営業について、そのあり方とデジタルセールスを導入することによってどのような業務遂行が可能になるのかを詳しく解説します。


デジタルセールスとは

デジタルセールスとはその名の通り、デジタルツールを駆使して行う新時代の営業活動のことを指します。
今までの営業は「顧客の元へ実際に足を運び、対面でコミュニケーションを取ること」が重要視されていましたが、現在はそういった面は重要視されておらず、むしろ非効率とも言われているのです。
現在は、インターネットの普及や専用ツールの発展により、顧客と企業の双方がデジタルツールを使用している割合が高くなりました。その結果、顧客が求めているものが分かりやすく、適切なターゲティングができるようになったのが従来の営業との大きな違いです。

また、新型コロナウィルスの影響も対面型営業に変化を強いる要因となっているでしょう。
デジタルセールスの要となる「セールステック」と呼ばれるツールは、営業活動の生産性と効率性を高め、オフィスにいながら適切な営業活動を行えます。こういった背景やツールの発達により、ビジネスのデジタル化が進んでいるのです。
「セールステック」については、下記で詳しく説明していくので参考にしてください。

あなたは営業という職業にどういったイメージを持っていますか?

大学生へ「営業にどういう印象を持っているか?」という課題を出したところ、回答は2割がポジティブ、8割がネガティブなものだったという結果がありました。
ネガティブな理由は主に以下のようなものです。

  • お客に頭を下げなくてはならない

  • ノルマがきつそう
  • お客様の言いなり
  • 休みの日でも呼ばれたら行かなくてはならない……など

引用:saleszine「学生は営業にどんなイメージを持っている? 9割が希望する「リモート営業」3つのポイント」

営業というと、こういったネガティブな意見が多いですが、それは一昔前の印象が強いからのようです。
現在は、営業が来たから「買う」という時代ではなく、顧客が自ら求めるものを探して「買いに行く」時代となっています。
「頭を下げなければいけない」や「お客様の言いなり」などのネガティブなイメージはもうないと言っても過言ではないでしょう。

現在の営業はそもそもの方法が変わってきており、うまくウェブサイトやツールを使用することで効率のよい営業を行うことができます。

実は、営業の人口は減少している?

1980年代から比べると現在の営業職の人口は130万人も減少していると言われています。
インターネットや営業のためのツールが発達したことにより、顧客との接点が拡大し、人力でなければ行えなかった追客が効率化しました。
その結果、従来の営業が行っていた対面のための移動時間や事務作業などの時間が大幅に削減され、営業員がいなくても結果が出せるようになったためだと考えられます。

しかし、一概に営業のする仕事が削減されたために営業の人口が減ったというわけではありません。なぜ営業の人口が減少しているのか、それは営業の形が変化していることに関係があります。詳しく見ていきましょう。

インターネットの発展による営業の形の変化

営業の人口は減少していますが、インターネットの発展により営業が行う仕事内容が変化したため、営業が違う職業に姿を変えていると言えるでしょう。
デジタル技術の発達により、売る物やサービスも従来のような「売り切り」型ではなく、サービスを一定期間利用するために料金を支払う「サブスクリプション」型のビジネスが広まったのもポイントです。
物やサービスの売り方の多様化やテクノロジーの変化により、営業が求められるスキルは「コンサルティング」寄りになってきました。
コンサルティングとは、主に企業が抱える課題への解決策を示し、その発展を助ける業務のことを指します。
現代はウェブサイトがこれまでの営業の役割を果たすようになったので、相手の悩み事に対して、より深い知見から次の一手を導くビジネスコンサルタントとしての資質を問われるようになったのです。
デジタルビジネスを始める上では、従来の「営業」という形にとらわれず、時代に合わせて柔軟に仕事内容を変えていくことが重要です。

営業を受ける側にも変化が

インターネットの発展により、営業を受ける側にも変化が見られるようになりました。
営業を受ける顧客側もウェブ上で製品やサービスについて調べ、自ら「買いに行く」時代になったのです。
こういった変化により企業が実際に出向いて営業する必要はなくなり、デジタルツールを使ったデジタルセールスという方法が主流になってきました。

Webサイトが営業資料に

誰もがインターネットで欲しい情報を手に入れることができるようになった現代では、もちろん顧客側も欲しい情報を自由に調べることができます。その結果、Webサイトが重要な営業資料となりました。
Webサイトを見て興味を持ってもらえたら、次は顧客の購買意欲を高めるためにWebサイトで興味喚起につながるコンテンツを発信したり、オンラインセミナーで顧客の積極性を高めたりすることが大切です。Webサイトで情報をただ発信するだけではなく、興味を持った顧客を手放さないようにする工夫も必要になってきます。

新サービス導入の際に最も参考になるのは「企業のWebサイト」

トライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査 2021」によると、顧客側が製品・サービスの購入のために最もよく参考にする情報源は企業Webサイトであるという結果が出ました。テレビやラジオ、カタログなど他の情報源を大きく上回っていることが図を見てもわかります。


引用:トライベック・ブランド戦略研究所「BtoBサイト調査 2021」

また、Webサイトの売上貢献度を示す「サイト効果」は、BtoBサイトがBtoCサイトを大きく上回っています。

引用:トライベック・ブランド戦略研究所「BtoBサイト調査 2021」

この図を見てもわかるように、BtoB企業が経営効率を高める上でWebサイトに取り組むことには非常に重要な意義があると言えるでしょう。
デジタルセールスを行う上では、企業が企業に対してのWebサイトを作ることが重要なのです。

デジタルツールには、自社サイトへの訪問回数などをベースに顧客がどれだけ企業に興味を持っているか、つまり「商談・成約に至る確度が高い」かを調べる機能があります。訴求したい物やサービスの魅力が伝わりやすいWebサイトを作成し、企業にどれだけ興味を持ってもらえるかが重要になってくるでしょう。

営業こそアナログではいけない

「営業」とは変化に適応し続けるもの。
インターネットやテクノロジーが発達した現代では、人力に頼ったアナログの営業はどうしても支障が出てくるはずです。顧客の変化や進化に合わせて、営業の方法も最適化しなければなりません。
そのためには、ITリテラシーや課題解決スキル、顧客思考マインドも進化しなくてはならないでしょう。

デジタルセールスで実現する「タイミングを逃さない」営業

営業において、最も大事なのは「タイミング」です。
従来の営業は顧客との直接のコミュニケーションが重要視されていました。しかし、手応えのある商談ができたと思っていても、実際は顧客社内での予期せぬ状況の変化などが起きていて契約には至らなかったというケースがあります。
こういったことは人力ではなかなか気付くことができませんし、運に任せるしかない場合もあるでしょう。
ここでは、デジタルセールスで実現する「タイミングを逃さない」営業について紹介していきます。
タイミングを逃してしまった実際のケース
まずはタイミングを逃してしまった実際のケースをご紹介しましょう。

商談内容

2020年3月15日

  • 提案自体は好評だったが今期は予算がない
  • 来期の予算取りは11月から始まる
  • 11月に再度連絡欲しいと言われる

             ↓

お客様の社内では実は……

2020年5月15日

  • 社長から急遽「早期導入の指示」

  • その時来ていた競合B社で検討開始

  • 見積書やWebで各社の価格を確認

  • 5月末にB社と3年契約締結完了

             ↓

営業のTodo

2020年11月1日

  • 来期予算に自社製品を入れてもらうよう連絡する

  • 忘れられないように3カ月に1度くらい電話する

このケースでは、顧客社内の想定外の変化により、知らない間に競合B社に負けてしまいました。従来の人力での営業方法では、こういった変化に気付くことができず「商談内容の通り11月に連絡した頃には既に他の会社と契約締結完了していた」というケースも多々あります。

人力、運任せでは限界がある!

上記で紹介したケースのように顧客社内で想定外の状況の変化が起きた場合、そういった変化に人力で気付くのは難しいことです。
しかしツールの力を使えば、人力、運任せでは限界があったポイントを改善できます。
それでは、ツールを使うことでどういった営業ができるようになるのか見ていきましょう。


ツールを有効活用することで解決できる課題

今回のケースでは、顧客が「見積書やWebで各社の価格を確認」してB社と契約締結完了しています。インターネットが普及し、このように顧客が自ら情報を調べられるようになった現代では、営業側も従来の方法は捨てるべきでしょう。
ツールを有効活用すれば、今回のケースのような「顧客社内での予期せぬ状況の変化」や「急遽早まった検討時期」などの変化を検知し、「タイミングを逃さない」営業をすることができるのです。

以下でデジタルセールスを行う上で重要なデジタルツールについて、代表的なものを詳しく紹介していきます。

代表的なツールとは


デジタルセールスを行う上で使用するツールは「セールステック」と呼ばれ、これを使用することによって営業活動の生産性と効率性を高め、オフィスにいながら適切な営業活動を行えるのです。

ここからは、セールステックの代表的なツールである下記の3つについて解説していきます。

  • SFA
  • CRM
  • MA

これらのツールにどんな機能があるのか、どう生かしていけばいいのか見ていきましょう。

SFA/CRM

まずは、デジタルセールスで使用されることの多いSFAとCRMについて解説します。

SFAは「Sales Force Automation」の略であり、「営業活動自動化」のツールです。
CRMは「Customer Relationship Management」の略であり、「顧客関係管理」と訳されます。
SFAとCRMはどちらも顧客情報管理を主体としたシステムなので同列に語られることが多いですが、顧客情報のアウトプット先が異なるのが特徴です。
それでは、それぞれの機能と管理する顧客情報について見ていきましょう。


SFA(営業活動自動化)

CRM(顧客関係管理)

管理する顧客情報

  • 顧客情報管理
  • 営業日報
  • ToDo管理
  • タスク振り分け
  • 見積書作成
  • 契約書作成
  • 売上予測
  • 見込み客評価
  • レポート
  • ダッシュボード
  • 企業名
  • 担当者氏名
  • 担当者連絡先
  • 担当者部署・役職
  • 企業所在地
  • アンケート結果

機能

  • 企業名
  • 担当者氏名
  • 担当者連絡先
  • 担当者部署・役職
  • 企業所在地
  • 折衝履歴(日時)
  • 案件内容
  • 商談内容
  • 抱えている課題
  • 興味・関心
  • セールスマンのコメント
  • 顧客情報管理
  • メール配信
  • シナリオ設定
  • フォーム作成
  • リマインドメール
  • サイト作成
  • アンケート調査


比べて見ると分かりやすいですが、SFAの方がより詳しい顧客情報を管理できます。
しかし、CRMでしか管理できない項目もあるので一概にSFAの方が優れていると言うわけではありません。
CRMは、SFAにはない「メール配信」や「アンケート調査機能」などのマーケティング機能が備わっているのが特徴なので、目的に合ったものを選ぶことが重要です。

MA

次に、SFA/CRMと比較されやすいものとして「MA」があります。
MAとは「Marketing Automation」の略であり、「マーケティング活動の自動化・効率化」のためのツールです。
MAは、SFA/CRMと同じように顧客情報を管理する機能がありますが、マーケティング活動におけるルーティン業務の自動化や、収益プロセス全体の効率化が目的となっています。
また、SFAやCRMとの連携機能も持ち合わせているので、より営業業務の効率化に役立つはずです。
それでは、実際にどういった機能があるのか見ていきましょう。

MA(マーケティング活動の自動化・効率化)

管理する顧客情報

  • セミナーで集めた名刺
  • Webサイトで資料請求を行った個人名や企業名
  • 直接訪問した際にもらった名刺
  • 取引が過去にあった個人や企業名
  • 継続して付き合いのある個人や企業名
機能
  • リード管理機能
  • スコアリング機能
  • シナリオ作成機能
  • メール文の作成・配信機能
  • ランディングページやフォームの作成機能
  • レポーティング・分析機能
  • 広告連携機能
  • SFAやCRMなどのシステム連携機能

リード管理、スコアリング、シナリオ作成については、どういった機能なのかよくわからない人もいるかもしれません。

リードとは「見込み客」を指し、コンタクトポイントで得た顧客の企業名や氏名、役職などの基本情報から行動履歴など、さまざまな情報を管理するのが「リード管理」です。

スコアリングとは、管理しているリードの行動、たとえばメールの開封率や自社サイトへの訪問回数などをベースに、スコアを加点していく機能。スコアの高いリードほど自社に興味がある、つまり「商談・成約に至る確度が高い」ということになります。

シナリオ作成機能は、顧客の属性や行動に応じてあらかじめ設定したシナリオに沿ったメールを自動で配信したり、検討初期段階、中期段階、後期段階から失注など、顧客の状況にあったシナリオを設計することも可能な機能。
顧客の状況に合ったアプローチを行えるため、製品やサービスの購入促進効果が期待できるでしょう。
このように、MAにはデジタルマーケティングを行う上で重要な機能をたくさん備えており、上記でも紹介した「タイミング」の把握を補ってくれるのです。


デジタルセールスは、「デジタルツールでセールスをすること」ではない

一概に「デジタルツールでセールスをすること」だけがデジタルセールスと言うわけではありません。
ツールを導入して営業の効率を上げることはもちろんなのですが、顧客の変化や進化し続ける時代に合わせて最適化をし続けることが営業の重要な点です。
非対面だから、ツールを使っているからデジタルということではなく、現代の社会での最適な営業方法がデジタルセールスという手法なのです。
このことを意識することで、デジタルセールスのスムーズな導入と定着が期待できるでしょう。


時代に合わせてツールを使いこなし、営業効率を上げること

これまでも紹介してきましたが、「営業」とは変化に適応し続けるものです。
インターネットやデジタルツールが発達した現代では、情報提供・顧客管理・追客が以下のツールで行えるようになりました。


情報提供

人→Webサイト

顧客管理

メモ帳/エクセル→SFA/CRM

追客

人力のタイミング把握→MA

情報提供の役割が人からWebサイトになったことで、顧客側も自ら簡単に情報を収集できるようになりました。時代の変化に適応せず、人力での営業方法を行っていると現代では影響の効率は下がる一方です。
変化を敏感に感じ取り、その時代に合わせてツールを使いこなしていくと、営業効率を上げることにつながるでしょう。

デジタルセールスは新時代のセールスの模範的存在に


ツールを使うと営業側の効率も上がりますし、顧客にとっても最適な視認性や操作性を実現することができます。顧客と企業の双方がデジタルの力で最適な業務をこなせるようになった現代では、デジタルセールスが新時代のセールスの模範的存在になっていくでしょう。

デジタルセールスはこれから、新しい営業スタイルではなく当たり前の営業の在り方となっていくでしょう。

まとめ

現代の変化に適応した営業方法「デジタルセールス」について解説しました。

デジタルツールにより、現代の営業は人力では限界のあるところまで解決できるようになりました。デジタルツールを使用して効率のよい営業をするには、デジタルツールの特徴や違いをよく理解して使いこなすことが重要です。
インターネットやツールの普及、新型コロナウイルスの影響など、時代によりさまざまな変化があります。そういった変化により、これからも営業は変化し続けていくはずです。時代の変化に合わせて、営業の方法も柔軟に変えていくことが成功への秘訣でしょう。

記事を見てもわからないことがある方、質問がある方はこちら→フォームリンク

人気記事ランキング

カテゴリ一覧

タグ一覧