
インサイドセールスの立ち上げを検討しているなら。知っておきたい注意点と導入の流れ
インサイドセールスの立ち上げを検討している担当者の中には、まずは導入の注意点が知りたいという方も多いのではないでしょうか。この記事ではそんな方々に向けて、インサイドセールスの注意点と導入の流れを詳しく解説します。
営業課題解決のためにインサイドセールス立ち上げを検討している企業は増加傾向にあります。また、新型コロナウイルスの拡大もインサイドセールスの注目度を加速させました。
せっかく立ち上げるのであれば成果を出して成功させたい、早く軌道に乗せたいと多くの担当者が望んでいるはずです。
この記事ではそんな方に向けてインサイドセールス立ち上げの注意点と導入の流れを詳しく解説していきます。
インサイドセールスを立ち上げてはいけないケース
インサイドセールスとは分業型(協業型)セールスモデルの一つです。
マーケティングが獲得した顧客に対してメールや電話の活用で自社の商品・サービスをアプローチ、リードの確度を育成してフィールドセールスとの橋渡しを行います。従来の営業では、一人の担当者が一貫して営業フロー・プロセスを進めていましたが、営業人材の不足や新型コロナウイルスの感染拡大でそれが難しくなり、新しい営業スタイルとしてインサイドセールスは注目度を高めています。
企業の営業課題を解決し、生産性と効率性の高い営業活動を行えるといったメリットがあるインサイドセールスですが、まずは立ち上げてはいけないケースをお教えします。
3つのケースを紹介するので詳しく見ていきましょう。
インサイドに期待する役割が決まっていない
企業の営業課題によってインサイドに期待する役割は異なるため、営業フロー・プロセスのどこをインサイドが担うかは企業ごとに異なります。
例えば、確度の低いリード、または一度商談・契約を断られたリードに対して継続的なアプローチをしていきたい場合。電話やメールを活用した定期的な顧客とのコミュニケーションで、ニーズに触れる機会が多いインサイドを導入することは効果的な営業手法です。
しかし、特に今後の営業方針や戦略が決まっていなければ、インサイドを導入しても専門性を活かせず、導入したメリットや効果を最大限感じることができないでしょう。
せっかく導入しても意味がないため、まずはインサイドに期待する役割を明確にすることから始めましょう。
即断即決アウトバウンド型で成果をあげたい組織
インサイドセールスはメールや電話を活用しながら非対面でリードに対するアプローチを行い、フィールドセールスへ顧客を引き継ぎ営業効果を高めることが大きな特徴です。
そのため、企業から顧客に対して訪問やイベントの開催でダイレクトなアプローチをするといったアウトバウンド型な営業手法で成果を挙げたい組織には不向きと言えるでしょう。
インサイドセールスは、選定された見込み顧客に対してアプローチしていくため、ニーズがすでに顕在化しているインバウンド型営業に近いです。アウトバウンド営業とインバウンド営業にはそれぞれのメリット・デメリットが存在するので、インサイドセールスのみに固執せず、営業課題に合わせて適した戦略を実施することが企業の売上向上につながるでしょう。
分業制(協業制)にする必要がない場合
そもそも、セールスを分業制(協業制)にする必要がない場合も考えられます。
分業型(協業型)セールスモデルでは、各担当者が自分の担う役割に集中し、生産的に業務を進めることができるというメリットがあります。
マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスがそれぞれのKPIを設定し、達成に向けて戦略的な営業を行う必要がありますが、KPIの達成ばかりを目指すと顧客への対応の質が落ちてしまう場合があります。それによってインサイドセールスからフィールドセールスに継続した時に商談・契約率が低くなってしまうかもしれません。
現状の営業スタイルが、商品やセールスとマッチしているのであればわざわざ分業型(協業型)にする必要はありません。むしろインサイドセールスを導入したことによる売り上げの損失が出る可能性があるため、導入には十分な検討を重ねましょう。
インサイドセールス立ち上げのステップ
インサイドセールスの立ち上げ目的は様々ですが、多くの企業は立ち上げによって営業課題の解決、生産性と効率性の底上げを期待しているでしょう。また、コロナ渦で可能な限り人との接触を避けることが求められている現在、ツールを活用した非対面での営業が可能なインサイドセールスを導入せざるを得ない企業も多いはずです。
いざ立ち上げとなっても「何から始めていいか分からない…」と頭を抱える担当者も多いのではないでしょうか。ここでは、インサイドセールス立ち上げステップについて詳しく見ていきましょう。
1.役割の明確化
インサイドセールスを立ち上げるにあたって、まずは求める役割を明確化しましょう。
インサイドセールスが担当する営業フロー・プロセスはどの部分なのかを決めることで、担当者はそれに注力し生産性の高い営業活動になることが期待できます。
その際、KPIを設定する必要がありますが、KPIの達成だけを目的にしないように注意しましょう。リードの確度は落とさず、育成も同時進行で行うことでフィールドセールスに継続した時の商談・契約率が高まるはずです。
2.営業エースを配置
インサイドセールスが担う役割にリードの育成があることからもわかるように、最も重要な役割は顧客の購買意欲をあげること、つまり関心の引き上げです。
インサイドセールスは、電話やメールの内容がある程度マニュアル化されているため、営業経験がほとんどなくてもすぐに業務に慣れるというメリットがあります。しかし、そこから発展させて臨機応変な対応を取り、リードの確度をあげる会話につなげる技術が求められます。
マーケティングと営業の知識、ツールを活用して短時間で顧客のニーズを把握できるコミュニケーション能力を有する営業エースをインサイドセールスに配置しましょう。
3.営業スタイルの確定(インバウト・アウトバンド)
前項でアウトバンド型で成果を挙げたい場合はインサイドセールスは不向きと前述しましたが、インサイドセールスにもアウトバンド型インサイドセールスというものが存在します。簡単に説明すると、ぜひとも狙いたい企業に対して、非対面でダイレクトな狙い撃ち営業を行う「ABM」という方法です。
対してインバウンド型インサイドセールスも存在し、そちらは自社サイトやWEB広告を活用して顧客に興味を持ってもらう営業手法となります。インサイドセールスを導入する際にはどちらのタイプを主軸に行うか決めましょう。
4.KPIの設計
インサイドセールスで売り込みたい商品や商材を選定し、KPIの数値を具体的に設定することで目標を明確化し、業務を推進することができます。
KPIが設定されていないとインサイドセールスだけではなく、マーケティングやフィールドセールス部門担当者の動きが決まらず顧客に対するアプローチの機会を逃してしまうかもしれません。
また、高すぎるKPIを設定してしまうと、それを達成することだけに注力し、確度の低いリードを量産してしまう場合があります。そういった顧客は数が多くても契約・商談の成功率が低くフィールドセールスが設定したKPIの達成が難しくなります。
インサイドセールス部門のKPIを達成したとしても営業全体の売上が落ちてしまうため、営業全体で適切なKPIを設定することが重要です。
5.アポイント基準の設定
どんなリードに対してアポイントを取るか、基準を明確にすることもインサイドセールス立ち上げの際に決めておきましょう。
基準を決めずやみくもにアポイントを獲得しようとしても難しい場合が多く、フィールドセールスへ継続するリード不足につながります。
6.SFA/CRM運用のルール化
インサイドセールスの導入にはSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理ツール)といった適切なツールを導入する必要があります。
SFAは営業プロセス・フローの可視化、業務内容・予実・案件情報の一括管理などの機能を搭載し、分業型セールスで重要な情報共有を手助けしてくれます。それによってインサイドセールス以外の進捗状況を把握し、営業活動の効率化を実現します。
また、CRMは顧客のニーズ把握につながる個人情報を一括管理し、定期的に分析したデータを蓄積することで最適なアプローチを可能にします。これらの運用をルール化し定着させることでインサイドセールスの生産性向上が期待できるでしょう。
7.可視化すべき数値の設計とツール上での可視化
インサイドセールスの実施から振り返りまで、SFAやCRMで蓄積したデータを基に可視化すべき数値を設計し、担う役割全体に一貫性を持たせましょう。
その際、インサイドセールス以外の各部門が設定するKPIと相関性を持たせた数値にする必要があります。数値を可視化することで、情報共有した際に営業失敗につながる穴を発見し、それを塞ぐ施策を早い段階で検討することができます。
最終的な契約・商談率向上のためにこれは必ず実施しましょう。
8.最重要KPI(振り返ること)を決定
インサイドセールスには数値で測るべき数多くの指標が存在します。
インサイドセールスのKPIには、
- 商談化数
- 受注数・受注率
- 架電数・通話時間
- メール開封率
といったものが挙げられますが、これらすべてをKPIに据えると課題の発見や解決が遅れる可能性があるため、最重要KPIを事前に決定しておく必要があります。企業ごとの営業課題に応じて適切な最重要KPIを設定しましょう。
9.会議体整理とアジェンダ決め
せっかく分業型(協業型)セールスモデルを採用しても、「リードを流しているのに成約率が悪い」「リードの確度が低い」など、各部門どうしの不満の声が挙がることがあります。
こういったことを防ぐために、ツールを活用した情報共有以外に、定期ミーティングを設けましょう。その際、会議体とアジェンダを事前に細かく決めておくことで、自分の担当以外の予備知識を付け、会議が始まったら全員が発言しやすい環境を整えることができます。
インサイドセールスの効果が感じられないと思ったら
インサイドセールスの導入には、営業の生産性や効率性を向上させるメリットが存在しますが、その効果を感じない場合は対策を考える必要があります。
では、具体的にはどのような対策をとればよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
1.リストの見直し
基本に立ち返って、顧客のリストの見直しを行ってみましょう。
過去に一度断られている、コンタクトを取ろうとしたができなかったなど、時間が経過しているフレッシュではない顧客の場合、アポイントにつながらない可能性が高いです。
また、最近選定したリードであっても商品やサービスにさほど興味・関心を示していない場合は、そのリードを育成するところから始める必要があります。
このように、リストに載っている顧客が必ず確度の高いリードとは限らないため、見直してみましょう。
2.アプローチ優先順位の見直し
MAツールを活用するなどして、自社の商品・サービスに対する顧客のアクティブ具合を分析することでアプローチ優先順位を見直しましょう。
新商品に関するメールの開封率が高い、商品・サービス紹介ページに何度もアクセスしている顧客は、選定されたリードの中でも比較的確度が高いと判断できます。
そういった顧客に優先的にアプローチすることでフィールドセールスに継続した時の商談・契約率が高くなるはずです。
3.トークの見直し
インサイドセールスはツールを活用した非対面型営業であるため、直接顧客とやり取りした時にトークが硬くなりがちです。せっかく顧客とコンタクトを取れても顧客から信頼を得られない可能性があります。
そういったことを防ぐために、フィールドワーク経験者から営業トークに関するアドバイスを受けてトークを見直してみましょう。様々な営業シーンを経験している営業マンからのアドバイスは、顧客ニーズを引き出せる臨機応変なトーク術を身に着けることに役立つはずです。
トークスクリプトの内容は定期的にアップデートするよう心がけましょう。
4.ゴールの見直し
現在設定しているゴールを見直すことで、成果が上がり、効果が実感できるようになるかもしれません。
具体的には、アポを取るだけをゴールとするのではなく、
- セミナーやイベントへの誘導
- 課題にマッチしそうな資料の紹介
- 興味がありそうなブログ・メディアの紹介
といった、相手にとって有意義となるなんらかの情報を提供することを心がけましょう。
他の部門とゴールの足並みをそろえることも大切です。マーケティングやフィールドセールスと全く異なるゴールを設定しても、営業全体の売上向上にはつながりません。情報共有を的確に行い、その時の課題に合わせたゴールを設定しましょう。
5.アポ後の受注率の計測
インサイドセールスの役割はアポイント獲得までで、その後の契約・商談はフィールドセールスが担う場合が多いです。
しかし、アポイントを獲得して終わりではなく、その後の受注率にも目を向けることが大切です。獲得したアポイントの受注率が低い場合は、リードの選定に問題がある、育成が甘かった可能性があります。そういった場合は、アポイント獲得前にイベントへの参加を誘導して顧客の興味・関心を高めた後に、アポイントにつなげるといった対策をとりましょう。
まとめ
ここまでインサイドセールスの導入を検討している企業に向けて、注意点や導入の具体的な流れを解説してきました。インサイドセールスを正しく導入することで企業ごとの営業課題解決につながるはずです。また、新型コロナウイルスの拡大で従来の営業スタイルが継続困難になっても営業活動を続け、売上維持又は向上できるはずです。
まだ導入を検討していなかった企業も、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。
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